建設業界の「入札方法」や「入札談合」って?
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建設業界における入札方法や入札談合について調べてみました。
最近、ニュースでよく流れている言葉で「入札」や「談合」があります。
建設業の談合事件により、建築現場では工事が急に中断したり、延期したり、中止となったりするなど大きな影響を受けております。
近年の物価高騰、資材や部材の入手困難など世界的な問題に併せて、建設業界にて問題となっているだけではなく、その建築物への入居などを決めている企業や一般の方まで大きな問題となっております。
そこで、今回はキーワードとなる「入札」、「入札方法」「入札談合」などについて調べてみました。
「入札」とは
仕事を発注したい側(国や地方自治体などの公的機関や企業など)が、「この仕事を、いくらで・どんな内容でやってくれますか?」という条件を設定した内容で募集をかけ、希望する事業主や企業が金額や提案内容を提出して競争する仕組みです。
では、なぜ入札をするのでしょうか?
特に国や地方自治体などの公的機関では、「税金を使用して仕事を発注するため」「特定の業者だけをえこひいきしないように」「透明性と公平性を保つ」という目的のために入札という方法をとっております。
「入札方法」とは
入札方法の第3原則
競争性:多くの業者が参加し、価格や技術を競う合うこと
透明性:選定プロセスが外部からみて明らかであること
公平性:参加資格を持つ全ての業者に平等な機会が与えられること
4つの入札方法
「一般競争入札」
「指名競争入札」
「随意契約」
「総合評価落札方式」
建設業界の4つの入札方法を簡単な言葉で表すとしたら、
● 一般競争入札:とにかく公平な「公開オーディション」
● 指名競争入札:実績のある人だけが参加できる「招待制コンペ」
● 随意契約:必要な相手に直接依頼する「指名発注」
● 総合評価落札方式:価格だけでなく実力も評価する「総合審査」

「一般競争入札」とは
概要
国や地方自治体などの公的機関が工事の条件を公開し、原則として条件を満たす不特定多数の参加者を公募し、最も有利な条件を提示した事業者や企業と契約を結ぶ方式
メリット
1.公平性・透明性が高い
▶ 誰でも参加できるため、「特定の会社だけが有利になる」といった
不公平感が少ない
2.工事費の削減につながりやすい
▶ 多くの会社が競争することで、より安い価格が提示されやすく、
発注者はコストを抑えられる
3.新規参入の機会がある
▶ 実績の少ない企業でも条件を満たせば参加できるため、
企業の成長機会につながりやすい
デメリット
1.安さだけの競争になりやすい
▶ 価格を下げることが優先されるため、品質や安全対策が十分
でない企業が落札する可能性がある
2.入札参加者が多く手続きが煩雑
▶ 発注者側は多数の申請を審査しなければならず、
事務負担が大きくなる
3.ダンピングの恐れがある
▶ 無理な安値で受注した結果、工事品質の低下や企業経営の
悪化を招くことがある
※ダンピング:工事の費用が足りなくなるような、
極端に安い金額で仕事を引き受けること
「指名競争入札」とは
概要
官公庁や自治体などの発注者が、あらかじめ一定の資格や実績、技術力を持つと考慮して、「指名」した複数の特定の事業者や企業だけで行う入札方式
メリット
1.信頼できる企業を選びやすい
▶ 過去の実績や技術力を把握している企業を指名するため、
工事品質が安定しやすくなる
2.手続きが比較的スムーズ
▶ 参加者が限定されるため、審査や契約までの期間を短縮できる
3.工事の確実な遂行が期待できる
▶ 経験豊富な企業が参加するため、工事の遅延やトラブルが
起きにくくなる
デメリット
1.競争性が低くなる
▶ 参加企業が限られるため、価格競争が十分に働かない場合がある
2.癒着の疑いを持たれやすい
▶ 「なぜその会社が選ばれたのか」という疑問が生じやすく、
透明性の確保が課題となる
3.新規企業が参入しにくい
▶ 実績の少ない企業は指名される機会が少なく、
市場参入が難しい傾向がある
「随意契約」 とは
概要
国や地方自治体などの公共機関、または民間企業が、複数の業者を競争させる入札を行わず、公共機関側が任意に特定の事業者や企業を選んで直接結ぶ契約
災害復旧や特殊な工事などで利用
※ 公共機関の契約は「競争入札」が原則、しかし、例外として法律(地方自治法など)で定められた一定の条件を満たす場合にのみ随意契約が認可される
● 緊急性:災害などの復旧のため、入札を行う時間が無い場合
● 独自性:特許や特殊な技術など、特定の業者しか対応できない特命随契の場合
● 少額取引:案件の規模や金額が小さく、入札にかかる諸経費などが高くなる場合
メリット
1.契約までが非常に早い
▶ 入札手続きが不要なため、緊急工事や災害対応に適している
2.特殊技術を持つ企業を選べる
▶ 高度な専門技術や独自ノウハウが必要な場合、最適な企業と直接契約できる
3.事務負担を軽減できる
▶ 入札公告や審査などが不要なため、発注者の業務を減らせる
デメリット
1.価格の妥当性を確認しにくい
▶ 競争相手がいないため、適正価格かどうか判断しづらくなる
2.公平性に欠けると見られやすい
▶ 特定の企業だけが選ばれるため、不透明だと批判される可能性がある
3.コストが高くなる場合がある
▶ 競争原理が働かないため、一般競争入札より高額になることがある
「総合評価落札方式」とは
概要
入札価格だけでなく、企業の技術力や施工実績、安全対策、提案内容なども評価し、「価格以外の要素」を合わせて総合的に評価し、総合評価値が最も優れた企業を選ぶ方式
メリット
1.品質の高い工事が期待できる
▶ 価格だけでなく技術力も評価対象となるため、品質確保につながる
2.安全性や環境配慮も評価できる
▶ 施工方法や安全対策など、価格以外の重要な要素も重視できる
3.技術力のある企業が評価される
▶ 安売り競争になりにくく、企業の技術開発意欲向上にもつながる
デメリット
1.評価作業が複雑
▶ 提案書の審査や技術評価が必要なため、発注者の負担が大きくなる
2.結果がわかりにくい場合がある
▶ 価格だけで決まらないため、「なぜその会社が選ばれたのか」を理解しづらいこともある
3.参加企業の準備負担が大きい
▶ 技術提案書や説明資料の作成に時間とコストがかかる
ここまで「入札方法」について確認してきました。では、次は「入札談合」について確認していきます。

「入札談合」とは
建設業界における「入札談合」とは、本来は公正に競い合うべき公共工事などの入札・見積もりにおいて、その競争すべき事業者間同士が事前に協議や合意をし、受注する事業者(落札者)や価格をこっそり決めてしまう不正な違法行為のことです。
本来「談合」とは、「人が集まって話し合うこと」や、「相談すること」を意味していましたが、現状では上記のような不正な行為を表す「入札談合」を指す言葉として使われることが多いです。
近年では、公共工事だけでなく、分譲マンションの大規模修繕工事など民間発注の現場での摘発、各都道府県や市区町村が発注する一般競争入札・指名競争入札において、地元の建設会社グループが事前に話し合って受注者を決定し、公正取引委員会から多額の課徴金納付命令を受ける事例なども相次いております。
「入札談合」の手口
1.受注調整(輪番制)
▶ 参加する事業者/企業の間で、今回はどの会社が受注するかを順番に決める
2.価格カルテル
▶ 事前に最低落札価格や合意した入札金額を設定し、高値安定を図る
3.辞退強要
▶ 本命の事業者/企業を勝たせるため、他の参加予定企業にわざと入札を辞退させる
「入札談合」の処罰
建設業における「入札談合」は独占禁止法違反(不当な取引制限)や刑法違反(公契約関係競売等妨害など)に値し、処罰を受けることになります。
1.排除措置命令・課徴金納付命令
▶ 公正取引委員会による行政処分や売上に応じた金銭の徴収の対象
2.刑事罰
▶ 独占禁止法違反として、個人には懲役や罰金、法人には巨額の罰金刑の執行
3.指名停止処分
▶ 国や自治体、発注機関から一定期間の入札参加に関する資格停止の処置
まとめ
今回は、建設業界における「入札」の仕組みや4つの入札方法、そして近年ニュースなどでも取り上げられている「入札談合」について確認してきました。
入札制度は、公共工事や民間工事を問わず、競争性・透明性・公平性を確保しながら、適正な価格と品質で工事を実施するための重要な仕組みです。
しかし、一言で入札といっても、「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」「総合評価落札方式」など、それぞれに目的や特徴があり、工事の内容や状況に応じて使い分けられています。
一方で、本来は公正であるべき入札において、事前に受注者や価格を決めてしまう「入札談合」は、公平な競争を損なう重大な違法行為です。
談合が行われることで、発注者や住民、税金を負担する国民だけでなく、建設工事に関わる企業や、その建築物を利用する多くの人々にも大きな影響を及ぼします。
また、工事の遅延や中止、コストの増加などを招き、社会全体の信頼を失う原因にもなります。
近年は物価高騰や人手不足、資材不足など、建設業界を取り巻く環境が厳しさを増しています。
そのような状況だからこそ、企業には法令遵守と公正な競争が求められ、発注者側にも透明性の高い適切な入札運営が求められています。
私たちが普段利用している道路や橋、学校、病院、マンション、オフィスビルなど、多くの建築物やインフラは入札制度を通じて整備されています。
今回のコラムを通じて、「入札とは何か」「なぜ談合が問題なのか」を少しでも身近に感じていただき、建設業界の仕組みを理解するきっかけになれば幸いです。