足場のサイズ規格について解説、“インチ”と“メーター”の混在は厳禁!
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足場の寸法には「インチ規格」と「メーター規格」が存在します。両規格は外見こそよく似ていますが、実際には数センチ単位の差異があり、これが現場で重大な誤差を生む恐れがあります。特にくさび式足場や枠組足場では寸法の統一が安全性を左右するため、規格の混用は禁止です。
本コラムでは、寸法体系の違いと混用リスクを紐解きます。
目次
インチ規格とメーター規格とは?
足場の寸法には「インチ規格」と「メーター規格」の2種類が存在します。
インチ規格は 1インチ=25.4mm を基準とします。
● インチ規格(代表寸法)
610mm、914mm、1219mm、1524mm、1829mm
一方メーター規格では、日本人にとって理解しやすい整数の寸法体系が採用されています。
● メーター規格(代表寸法)
600mm、900mm、1200mm、1500mm、1800mm (300mmの倍数)
枠組足場や鋼板足場板では、たとえばメーター規格の 1800mm に対し、インチ規格では 1829mm と数センチの差があります。
これが“わずかな違いに見えても現場では絶対に混用できない理由”であり、安全確保のため規格統一が必須とされます。
なぜ2種類の規格が生まれたのか?
世界には主に2つの長さ基準が存在しています。
・ヤード・ポンド法(inch / foot):アメリカ・イギリスなど
・メートル法(meter):日本・EU・アジア諸国
アメリカや英国は歴史的にヤードポンド法を使用しており、足場材もこの体系で設計されています。
実際、一般的なスチールフレームの幅は 5フィート(1.52m) が標準とされており、これは業界の広く普及した基準としてます。
一方、EU圏や日本ではメートル法が主流であり、足場システムもメートル表記に基づく寸法で統一されています。
規格混用は現場の安全管理を崩壊させる
具体的な寸法の違い:似ているようで微妙に違う
足場水平材(布材)の例
| 規格 | 寸法 | 備考 |
|---|---|---|
| インチ規格 | 5ft = 1524mm | 米英系の標準幅として採用されることが多い |
| メーター規格 | 1.5m = 1500mm | 日本のくさび式足場で一般的なサイズの1つ |
両者の差は 24mm にすぎませんが、足場のように複数の部材を組み合わせて構成する構造物では、わずか数ミリの差が接合不良を生み、構造全体の安定性に影響を与えます。
1. 接合部のズレによる強度低下
例えば 5ft(1524mm)と 1.5m(1500mm)を混用して組むと、水平方向の長さが合わず、以下のような問題が発生します。
・くさび式足場では楔の掛かりが不足
・架構の直角性が崩れ、全体が歪む
・足場板が正しく乗らないため、踏み抜き・転落のリスクが増加
2. 手摺や布材の高さが不均一になる
くさび式足場では、水平材や手摺の高さが一定であることが重要です。
規格混在は「設計された高さからのズレ」を生み、結果として法令で定められた転落防止基準を満たさないケースも出てきます。
3. 構造荷重の予測が狂う
足場は「設計通りの寸法」で荷重が分散されるように計算されています。
しかし、少しだけ長い水平方向材が入るだけでも、支柱に余計な曲げ応力がかかり、想定外の負荷が発生します。
インチ規格とメーター規格の「見分け方」
最も確実な判定は「芯々を測ること」です
▼ 測定ポイント(芯々=中心〜中心で測る)
・アンチ(踏板):フック中心〜フック中心
・水平材(布材):ピン中心〜ピン中心
・筋交:孔中心〜孔中心
ラベル・刻印も参考になりますが、中古資材は刻印が消えている場合が多く、必ず実測が必要とされます。
規格ごとに保管ゾーンを分ける
“混用厳禁”のためには保管段階での分別が非常に重要です。
・色タグを付ける
・「メーター区画」「インチ区画」を分ける
・不明材は必ず再測定
まとめ:規格の違いを理解し、安全な足場を構築する
規格の違いは以下の通りです
● インチ規格の特徴
・米国・英国の産業で長く使用されてきた実績
・5ftや7ftなど、作業性を重視した構成
・海外製足場材との互換性が高い
● メーター規格の特徴
・メートル法による設計のしやすさ
・日本の建築基準・施工計画との整合性が高い
・国内メーカーの供給が安定しているため部材調達が容易
足場材のインチ規格とメーター規格の違いは、単なる単位の違いではなく、建設の安全性や施工効率に直結する重要な要素です。
・規格の混用は絶対に避ける
・海外製の足場材は規格を必ず確認
・寸法の「数ミリの違い」が大きな事故につながることを理解する
建設現場では「慣れた寸法」が安全性にもつながります。規格の違いを正しく理解し、適切な足場材を選択することが、安全で効率的な施工の第一歩と言えるでしょう。