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竹足場とは?特徴などを説明

足場のTIPS

竹足場(竹製足場/竹柵)について説明します。

今回は今話題の竹足場について説明いたします。
202511月 香港 高層住宅群での大規模火災のニュースが報じられ、この大惨事に心を痛めた方も多くおられると思います。
火災を広げる要因の一つとなった「竹足場」ですが、ニュースを見ながら「香港では竹足場を使っているの?」と驚いた方、あの超高層マンション(31~32階建て)の鉄筋コンクリートの周りに、建物よりも高く組まれた竹足場に圧倒された方も多かったのではないでしょうか?
そこで、今回は竹の特性などから竹足場が普及された理由、安全面などを確認しながら、今後の課題について説明していきます。

竹について

竹の生息地

温暖で湿潤な地域 特にアジアの温帯・熱帯に広く分布し、東南アジアが原産地
北は樺太、南はオーストラリア北部まで生息していると言われています。
竹 足場 竹足場

特徴

地下茎を広げて繁殖する力が非常に強く、成長も早い
「節間成長」※という仕組みで、数ヶ月で数メートルから20メートル近くまで急成長し、1日に1メートル以上伸びることもあります。
但し、一度成長しきると樹木の様に毎年太ることはなく、伸びも止まります。
伐採後も地下茎から再生するため、持続可能な資源として、重宝されています。
※「節間成長」→ 竹は先端だけではなく、全ての節が同時に細胞分裂して伸びるため成長が非常に早い

日本での竹の利用

日本国内には約600種類の竹が生育していると言われています。
縄文時代から建材や生活用品として利用され、茶道の影響で用途が拡大したとされております。
現在でも日常生活から伝統文化など深く根付いており、日本の生活道具や工芸品に利用されています。

竹足場について

竹足場(竹製足場/竹柵)

現在も中国をはじめとする、東南アジアの多くの地域で竹足場が利用されています。
日本でも江戸時代までは、土蔵の足場で竹材を用いることはありましたが、現在ではほとんど使用しておらず、金属製の足場に変わっております。
その他としては、歴史的建造物(神社仏閣など)の修繕用に使われる丸太足場があります。
竹足場 中国 看板

メリット

金属製の足場に比べて安価なので、材料費が大幅に削減できる。
軽量なので運搬費を抑えることができ、組立する時も解体する時も金属より運びやすく、作業しやすい。
高温多湿な気候でさびやすく熱くなる金属に対して、錆びる心配もなく真夏の炎天下でも熱くなりにくい竹は、湿気による強度を増す性質をもちながら、しなやかなさを持ち合わせているため、加工性に富んでいる。
特に中国や香港のような建物が密集して狭い場所でも、容易に加工や設置ができ、複雑な形状や小中層から高層の建物にも多様な組方で対応することができる。

デメリット

火に弱い(可燃性) 。乾燥した竹は特に油分を含むため燃えやすく、火災の原因の一つとして指摘されている。
標準化された金属製の足場に比べ、乾燥による反りや劣化、カビや虫がつくことで品質のばらつきや耐久性、耐荷重性においての懸念点がある。
天然素材であることから、標準化が難しく均一ではないため、安全な足場を組むためには熟練した職人の技術が必要となり、さらにその技術継承も難しいとされている。

香港名物 竹足場

竹足場は中国 漢王朝時代から広く利用されてきた中国伝統的な足場で、その中国大陸から安価で長くて質の良い竹材を入手できることから、竹足場が普及されたと言われています。
竹材は金属製に比べると約5倍ほどの金額差があるため、コスト面でのメリットが大きかったようです。
また、軽量であることで、運搬から組立、解体が楽にできる点、高温多湿の香港において湿気に強く、鉄の様に錆びない点、狭い場所や複雑な形状の建物にも柔軟に加工などができる点、ほとんど地震がなく竹足場でも対応できる点、この全てが香港の環境にマッチしており、古くから竹の足場(竹柵)の歴史と熟練の職人技術に支えられてきました。
竹足場(竹柵)を組むための専門の職業訓練校があり、竹柵職人は一般の建設作業員に比べても賃金が高く、人気の職業とされてきたようです。
竹足場のつなぎ方としては、ナイロン製のひも(可燃性)で結束してつなぎ合わせるのが特徴です。
こちらも軽量で安価、高温多湿な気候に適しているため、超高層ビルなどにも使われております。
竹の耐久性や安全性の面から各国がパイプ足場などの金属製の足場に変更していくなか、高層ビルなどにかかる壮大な竹足場が香港の名物足場として現在も残ってきたようです。
竹足場 香港 足場

現在の状況と課題

現在の状況

中国政府では2022年9月、安全管理の徹底のため、新築ビルの建設現場での竹製足場の使用を規制しました。
香港政府も、20253月以降に入札された公共の建物を建築する際には、金属製の足場を使用するように義務付けしました。
さらに、今回の香港での高層住宅群での大規模火災を受け、香港政府ははるか昔から建設現場で使用されてきた竹製足場の段階的廃止から、金属製足場の使用比率を高める計画を大幅に前倒ししていくことになりました。
竹足場は、加工性や軽量、コスト面、環境面で優れているところがある一方、防火性の弱さによる火災から大災害に発生するリスク、安全面から見た時の倒壊リスク、技術継承が難しいところから発生する職人の人材不足や建築現場での墜落リスクなどデメリット面からすると、今後、東南アジアの各国で竹製足場は大幅に減り、金属製足場に変わっていくのではないでしょうか?

まとめ

竹の生息地は温暖で湿潤な地域で、主にアジアの温帯・熱帯に広く分布している。
成長のスピードが速く、持続可能な資源である。
金属製足場に比べて安価で軽量、加工性に富んでいるためメリットがある。
高温多湿なエリアでは竹の有効な特性と環境がマッチしたことで竹足場が今も残っている。
火に弱く、標準化が難しいことから耐久性や耐荷重性に懸念点がある。
中国や香港でも昔から使用してきた竹足場(竹柵)も安全管理面において廃止方向にあり近年規制がかかっている。
今後は、東南アジアにおいて金属製の足場の普及率が高まるとみられる。

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ASNOVA編集部

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